2024年5月23日にSTEPN(ステップン)の新作のSTEPN GO(ステップン)のリリースが発表されました。
STEPNは2021年にリリースされたMove to Earnのアプリで、最盛期には400万人以上のユーザーを有した大人気ののサービスで、STEPN GOはSTEPNの続編としてリリースが予定されているサービスです。
本記事では、元祖STEPNの説明を含め、STEPN GOの概要を解説をします。
なお、STEPN GOの具体的な始め方は、以下の記事も参照ください。
STEPNの基本情報
STEPNの概要や稼ぎ方
STEPNは「Move-to-Earn」と言われるジャンルのアプリで、ユーザーは歩いたり、走ったりという運動を行うことで暗号通貨を獲得できます。
名称 | STEPN(ステップン) |
開始年月 | 2021年12月 βテスト開始 |
媒体 | iOS / Android |
開発会社 | FSL (Find Satoshi Lab) |
利用暗号通貨 | GST (Green Satoshi Token / グリーンサトシトークン) GMT (Green Metaverse Token / グリーンメタバーストークン) |
対応チェーン | Solana (初期から対応) BSC (2022年4月対応) ETH (2022年7月対応) |
ユーザーがトークンを獲得するためにはNFTのスニーカーを保つ必要があり、スニーカーの保有量に応じて一日あたり稼げるトークンの枚数が変わってきます。
NFT
Non Fungible Token(非代替性トークン)の略。一つひとつのトークンに個別のIDがついていて、他と区別ができる形のトークン。特にブロックチェーンゲームでは、ゲームアイテムがNFT化されていることが多い
稼いだトークンはそのまま換金しても良いし、ゲーム内アイテムの強化や補修に使うことができる他、新しいNFTの靴をMint(ミント)して生成する際のコストにも必要となる。
Mint / ミント
新規にトークンやNFTを発行すること。直訳すると、鋳造。
STEPNのゲーム画面
STEPNは簡単なUXでNFTの購入、運動でのトークン獲得、交換までができるアプリとなっています。
ホーム画面
ホーム画面はシンプルなUIです。
保有する靴の数に応じてエナジーが毎日付与され、それを消費してGSTトークンを稼ぐことができます。
1エナジーが5分の運動に相当し、靴の数に応じて最大20エナジー、100分の運動をすることができます。
そして、毎日稼げるトークンにも上限が存在し、最大300GST、追加機能を開放して330, 360…と増やすこともできます。
その他、ランダムでアイテムが貰えるミステリーボックスなど、ゲーム的要素が含まれます。
アプリ内マケプレ
ユーザーはアプリの内部でNFTの売買ができるようになっており、シームレスなUXを提供してます。
暗号資産もしくはアプリ内課金のポイントを使って購入することが必要で、現在は一足4000円程度。始めるにはそれなりの決意がいる額です
運動画面
運動画面は、一般的運動アプリと似たようなUIです。
エナジーがある間は、適正速度(靴タイプにより異なる)で歩いたり走ったりすることでトークンを獲得できます。
アプリ内ウォレット・取引所
稼いだトークンは、アプリ内にあるウォレット(暗号資産の口座)にて管理が可能です。
アプリ内でステーブルコイン初め他のトークンと交換したり、他のユーザーのウォレットや、取引所へ送付することも可能です。
STEPNの歴史と現在の最新状況
STEPNの初期(2021年9月〜12月)
STEPNは最初はSolanaブロックチェーンのハッカソンで発表がされました。
初期はUIなどもシンプルでしたが、運動して稼ぐというコンセプトや、アプリ内ウォレットなどの基本的な機能が構想されていました。
STEPNの最盛期(2022年1月〜5月)
STEPNは2021年の12月にβ版がリリースされ、2022年の5月頃にかけて口コミなどを通して注目度を高め、ユーザー数が急増しました。最盛期にはアクティブユーザー数が300万人を超えるほどでした。
SNS上でも「#MoveToEarn」というハッシュタグがトレンド入りし、地上波の「やりすぎ都市伝説」という番組でも紹介がされるほどにまで盛り上がりました。
また、4月にASICSとのコラボを発表と、BSCチェーンでの新規ゲームの展開を発表するなど、コンテンツ的にも更新が多い時期でした。
多くのユーザーがSNSなどを通して、自分の稼いだトークンやフィットネス成果をシェアしたり、効率的な稼ぎ方等を考えた攻略方法などの情報も多く発信されました。
トークンの観点では、ガバナンストークンであるGMTがBinanceのローンチパッドで販売され、GST価格も安定した右肩上がりの期間が継続し、4/29には最高値である1024円をつけました。
NFTを多く持っているユーザーは一日当たり最大300GSTのトークンを稼げたため、ゲームをプレイするだけで30万円もの収入を得ていたことになります。
(当然その分投資も必要であったため、ここまで稼げていたのはほんの一部のユーザーになります)
STEPNの崩壊(2022年5月〜6月)
しかし、5月中旬のピークを境に、STEPNのエコシステムは崩落しました。
崩壊したきっかけとしてはいくつか上げられています。
- 中国の規制に準ずるための中国でのサービス提供の停止
- BSCチェーンで展開したゲームの異様なトークン価格のインフレ
しかし、最も大きな課題は、NFTの寿命がなく、半永久的に発行され続けること。そして、NFTで稼ぐGSTトークンも加速度的に発行されれ続けるという構造的な原因が課題でした。
結果、多くのユーザーがトークンを売却したり、NFTを売却したりと、サービスからの撤退を始めたため、GSTの価値は急落するとともに、ユーザー数も大幅に減少することになりました。
STEPNのその後(2022年6月〜)
STEPNはその後、新機能として様々な取り組みを行いました。
新しいパラメーターを導入して、改修コストを上げたり、靴のMint費用を変更して、GSTの需要を増やそうと拡散しました。
項目 | 内容 | 開始時期 |
---|---|---|
SMAC | 運動時のGPSデータ履歴を元にSybil判定(人間かbotかの判定)を実施。 Botを排除することで、歩かずにトークンを稼ぐことを防ぐ狙い。 | 2022年6月 |
ミント スクロール | ミント時に追加で必要となるアイテム(以前はトークンのみでNFTのミントが可能)を実装。 排出率は運営がコントロールしており、新規NFTの発行枚数を調整するために利用。 | 2022年6月 |
エンハンス | 同じレアリティのNFTを5個集めて合成することで、レア度の高いNFTに進化させる機能。 NFTの個数を減らす目的で行い、フュージョンイベントを実施するなど、運営も積極的に推進した | 2022年6月 |
HPシステム | 運動するごとに減るパラメターで、Comfort値のGEMとトークンを利用して回復が必要。 元々存在したDurationと組み合わせて、アプリ内でのトークン・GEM消費を促進 | 2022年7月 |
フュージョン | NFTを1つBurnして、もう1つのNFTのステータスを強化する機能。 ステータス面以外(ジェムソケット等)が優秀な靴のステータス底上げに利用。 金銭的合理性は薄く、行うユーザーは限定的であった。 | 2022年8月 |
成功率向上 | 2,000GMTを課金することで、永続的に機能が向上 (双子確率、Gem合成成功率、靴箱からの上ブレ確率) Mint職人・Gem合成職人などの利ざやが向上した可能性あり | 2022年8月 |
VIPプログラム | 月額20USD相当を課金することで、各種確率を改善 – Mint時にミントスクロールを失わない確率(2%) – Gem合成失敗時にGemを失わない(3%) 同じく合理性は薄いが、一部職人的ユーザーに利点がある可能性 | 2022年8月 |
GMTアーニング | ガバナンストークンであるGMTを稼げるようになった。 一日ごとに稼げるGMTプールの枚数は固定で、同時期に歩いている人同士でプールを分け合う | 2022年9月 |
レインボー スニーカー | GMTを特化して稼げるNFTを実装。稼げるGMTのうち、50%がレインボー専用で配分。 特に初期は、レインボイースニーカーが少ない分、トークンの稼げる量が膨大に | 2022年10月 |
バッジ | ゲーム内での各種活動ベースでバッジを獲得可能に(合計移動距離、Mintした回数、Genesisの保有等) 具体的なユーティリティはまだ未定 | 2023年5月 |
しかし、どの施策も根本的な解決には至らず、STEPNの関連トークンの価格は引き続き低い水準にあります。
STEPNの現在の状況
STEPNは現在、各種トークン価格も下落しており、最高のピークの頃と比べるとかなり落ち込んだ状況になっています。
一方、STEPNのもともとのコンセプト的には、運動にゲーム要素を取り入れて楽しく健康になろう、というコンセプトであり、トークン価格に関係なくプレーしているコアユーザーも一定層存在します。
トークン名 | 価格 | 最高値 |
GMT | ¥17.19 | ¥601(-97.15%) |
GST(Solana) | ¥1.80 | ¥1,320(-99.86%) |
GST(BSC) | ¥0.86 | ¥4,308(-99.98%) |
GST(ETH) | ¥2.13 | ¥1,262(-99.8%) |
STEPN 新作アプリ STEPN GOの発表
そのような中、STEPN GOはSTEPNの第二弾のアプリとして発表されました。
名称 | STEPN GO(ステップンゴー) |
開始年月 | 2024年夏 αテスト開始 |
媒体 | iOS / Android |
開発会社 | FSL (Find Satoshi Lab) |
利用暗号通貨 | GGT (Go Game Token / ゴーゲームトークン) GMT (Green Metaverse Token / グリーンメタバーストークン) |
対応チェーン | Polygon |
基本的な仕組みである、歩いてトークンを稼ぐ、という体験は同じなのですが、随所にSTEPNとは異なる仕組みが凝らされています。
特に特徴的なのは、NFTをバーン(焼却)することで初めてトークンを稼ぐために必要なエナジーを稼げるようになる新しいトークンエコノミクス設計と、新規ユーザーが簡単にサービスを開始できるようなオンボーディングの仕組みの二点になります。
元祖STEPNの時点で、すでにユーザー体験や、トークノミクスの設計を十分凝らしたうえでサービスを提供し、多くのユーザーに受け入れられてきましたが、STEPN GOは過去3年間の運営の経験を踏まえたサービス設計となるようです。
新しいトークンエコノミクス設計
STEPN GOでは、新しいトークノミクスを設計を採用しており、特にNFTの発行数量をコントロールするための変更点が加えられています。
前述の通り、STEPNのトークンエコノミクスの課題としては、NFTが半永久的に増え続け、その増え続けるNFTがどんどんトークンを吐き出してしまうということでした。
STEPN GOではエナジーの使用と、ミントシステムの変更の2点からその課題を解決しようとしています。
エナジーの仕様の変更
STEPNとSTEPN GOでは、エナジーを獲得するための方式に大きな変更が加えられています。
STEPNでは、NFTの保有枚数に応じて、毎日自動的にエナジーが付与され、そのエナジーを使ってトークンを稼ぐことが可能でした。この
一方、STEPN GOでは、NFTの靴をバーン(焼却)することでエナジーを獲得するという仕組みに変更されています。
これは実質的にNFTからトークンへの交換でもあり、NFTが半永久的に増え続けるという課題を解決しようとしています。
ミントシステムの変更
STEPNとSTEPN GOでは、ミントの方式にも変更が加えられています。
初期のSTEPNでは、トークンを消費するだけでNFTをミントする事ができ、運動を目的とせず、NFTをミントして売ることだけを目的としたユーザーにより、NFTが際限なくミントをされていました。
その後、ミントスクロールというアイテムが導入され、ミントの量がコントロールされるような形になりましたが、初期にミントされたNFTの発行量が多すぎたこともあり、根本的な解決には至りませんでした。
一方、STEPN GOでは、ミント数量をコントロールするための機能として、ミントクォータが初期から実装されます。
このミントクォータは運動をすることでのみ貯められるため、運動を目的としないユーザーの利益目的のミントを防いだり、過度なNFTの発行を防ぐことを狙っています。
オンボーディングの設計
STEPN GOでは、新規ユーザーがサービスを利用しやすくするため、登録までのプロセスを簡素化しています。
STEPNでは、サービスを利用開始するためには、取引所を開設し、NFTを購入するための暗号資産を用意し、送金を行い、NFTを購入する…といった煩雑な手続きが必要で、参入のハードルを上げていました。
ハウスシステム
STEPN GOでは、ハウスシステムという機能が新規に追加されます。
ハウスシステムは、NFTのレンタル機能を備えたギルドのような機能で、ホストは最大5名までのゲストにNFTを有期限でレンタルすることができます。
これにより、新規ユーザーはSTEPN GOを原資無く初めて、ゲストとして稼いだトークンを元にいつかは自身のNFTを購入して独り立ちをする、というようなサイクルが実現できます。
FSL IDでのログイン
STEPN GOでは、ログインをする際にFSL IDという共通IDを利用します。
このFSL IDはウォレットをセミカストディアル的に管理する方式であり、STEPNで必要だったシードフレーズの管理のような煩雑さなくサービスを利用することができるようになります。
これにより、よりweb2ユーザーも使いやすいUXとなり、オンボーディングを容易にすることを狙っています。
STEPN GOの現状と始め方
2024年9月現在、STEPN GOはβテスト段階です。
具体的な参加方法は以下の記事を御覧ください
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